nuri candle

キャンドル作家

1978年福岡県生まれ。自然から受けるインスピレーションを蝋燭に込めるように制作するキャンドル作家。『鉱物キャンドルのつくりかた』など著書多数。

キャンドルに彩を灯して

4鉱物キャンドル

鉱物キャンドルの始まり

とても古くなった蝋燭があり、試しにとハンマーで砕いてみました。砕けたちいさな蝋は表面が結晶化してキラキラと輝いていました。まるで妖精が固めたようだと思いました。夢の中の記憶を固めるときっとこんな感じかなと。古くなった蝋燭があればどんどん砕いて結晶を確認していました。そのイメージにヒントをもらい、自分で蝋を固めて石のようなキャンドルを作ったのが鉱物キャンドルの始まりでした。図鑑を眺めたり、京都の益富地学会館に足を運んで赴くままに鉱物を眺めて色の感じを確かめ、蝋に土を混ぜたり蝋を流すタイミングを考えいろんな方法を試したり夢中になって作る冒険のような日々でした。

宮沢賢治と鉱物

鉱物がきっかけで宮沢賢治も大好きになり、賢治の詩集の中から石の表現を発見するたびにうっとりと妄想して、キャンドルで表現するならどんな色だろうと思いを馳せました。

色を流して固めて砕いて成形して、作り方はシンプルなのですが、色の混ざり方で雰囲気がガラッと変わります。牛乳パックを型にして作るのですが、蝋を流す時は中が見えないので型から出すまでどうなっているのかわからないため、蝋燭の神様におまかせする気持ちで作っています。

鉱物キャンドルを作り始めてから5年くらい経った頃、講談社『月刊アフタヌーン』で連載している市川春子さんの漫画『宝石の国』とのコラボレーションで主要キャラクターの鉱物キャンドルを作ることになり、全部で8人のキャラクターのキャンドルを作りました。

鉱物キャンドルのつくりかた

福間乃梨子(nuri candle)著『鉱物キャンドルのつくりかた』日東書院本社 2016年

また、日東書院さんから『鉱物キャンドルのつくりかた』という本も出版させていただくことになり、尊敬する鉱物アソビのフジイキョウコさん(編集部注:2008年刊行の『
鉱物アソビ』が鉱物ブームを生み出したパイオニア的存在の編集者兼ライター。鉱物の魅力と可能性を探究するラボ「鉱物Bar」を不定期に企画)
に鉱物の監修をしていただきました。鉱物に関する知識が素人だったため、フジイさんの鉱物に対する造詣の深さと熱い想いを感じながら制作できたことはとても貴重な体験になりました。今までイメージの世界で自由に作っていましたが、よりリアルに鉱物に似せていくという新しい段階を踏む事ができました。結晶の形、科学組成、分類、知れば知るほど鉱物の世界は奥が深いです。

リアルに追求していくこともとても楽しいですし、賢治の詩集を読んだ時のあの宇宙を想うような、蝋燭の神様が出してくれた偶然にできた不思議な色に感動しながら作るのも、どちらもとても楽しいものです。

キャンドルに彩を灯して

1

8月29日公開

福岡に帰ってきた

京都、そして地元の福岡へと活動の拠点を移しながら、自然をモチーフにしたキャンドルを作るnuri candle。どこか懐かしく、でも見たことがないような新しいスタイルのキャンドルはどのように生み出されているのでしょうか?注目を集めるキャンドル作家の魅力に迫ります。

2

9月26日公開

京都で過ごした時間

父親の転勤を機に引っ越した京都。四季折々の美しい自然や文化に触れながら、生きていることの実感と自己表現に対する葛藤のあいだでひたすらキャンドルを作り続けた日々は、充実した創作活動の時期となりました。

3

10月31日公開

もみじ市という魔法

求められるものを作らなくてはいけないというプレッシャーから解放してくれたのは、多摩川の河川敷で開催される「もみじ市」への出店の誘いでした。一ヶ月前から準備を始め、集中して自分の作りたいものを作る時間は、nuri candleにとって何よりのギフトとなりました。

4

11月28日公開

鉱物キャンドル

古くなった蝋燭を砕いてみると、結晶化した欠片が鉱物のように見えた…。そんなきっかけで繋がったキャンドルと鉱物の世界。鉱物をこよなく愛した宮沢賢治の詩集を読んだり、漫画『宝石の国』のキャラクターの公式イメージキャンドルを作ったり、ついには鉱物キャンドルの本を執筆したり。nuri candleと鉱物の出会いから生まれた神秘的な鉱物キャンドルの数々をご紹介。

5

12月26日公開

お薬としてのキャンドル

「精油は瓶の中でまだ生きています」この言葉から生まれたのがnuri candleのアロマキャンドル。火を灯すと精油の生きた効用が広がる、まるでお薬のようなキャンドルです。そんな特別なキャンドルが、美しいレリーフに覆われて特別な空間と時間を作り出すことは言うまでもありません。

6

1月30日公開

作ることは生きること

「いつも気持ちをまっさらにして作業台に向かうこと」時には感覚を研ぎ澄ませて、真夜中の絵付け作業から明け方の海辺へと移ろっていくことも。福岡の自然のなかで、今の自分が作りたいものにまっすぐに向き合うことこそが、火を灯した瞬間に魔法が広がるnuri candleの魅力の秘密のようです。連載最終回。