nuri candle

キャンドル作家

1978年福岡県生まれ。自然から受けるインスピレーションを蝋燭に込めるように制作するキャンドル作家。『鉱物キャンドルのつくりかた』など著書多数。

連載中キャンドルに彩を灯して

nuri candle exhibition 月と一角獣

京都

きょうと

伝統文化を受け継ぎつつも、芸術家や職人を中心に新しい創造の文化が日々生み出される日本の古都。美術やデザインの学校も多く、若い作家が活躍できる場が豊富なことから、全国から芸術や物づくりを志す人々が集まる。数百年の歴史を持つ老舗店舗と、独自の流行を生み出す新しいショップが共存し、東京、大阪に次いで海外からの観光客が訪れたい街として知られている。

2京都で過ごした時間

蝋をつぎはぎについでできたキャンドル

「私はこの先もずっとキャンドルを作っていく」
岐阜でアシスタントをしていた時に決めたことです。自分との決めごと、そんな大げさなものではないのだけれど、ただそう決めたので、迷うことなくキャンドルを作ることに突き進んでいきました。

父の転勤で両親が京都に引っ越しをした機に私も京都に移りました。
その時の私の目に映る京都はキャンドルだけで食べていくという覚悟と不安、そして今が一番幸せだ、という自由な感覚で京都を見ていたのだと思います。夜が暗くて山からぴゅーと吹く風、東山から大きくのぼってくる月。黄金色に光る鴨川。桜の季節、紅葉の季節。どの季節も色鮮やかで四季の色に毎日驚いていました。

内側から生まれてくる色

それぞれの色に名前をつけて楽しんでいたキャンドル

この時期は色でキャンドルを表現することが楽しくて仕方ありませんでした。自分の内側から生まれてくる色。今日の色は今日しか作れない。顔料を調合して蝋を着色しますが色を作ることに迷ったことなどなかったように思います。不思議ですが、手が勝手に動いて色を調合しているような感覚でした。

やっと作りたいものが少しずつ作れるようになり、でもひとつのものが作れるようになると、10も20も膨らんで、結局はいつまでも幻想を追い続けているような感覚。夢に向かって進んでいるけれど、自分が今どこにいるのだろうか、外側の世界と自分の内側の世界が交わるところの位置を模索してジタバタして苦しい時期でもありました。

もっともっと透明になりたい

京都時代に生まれた、火を灯すと木のシルエットが浮かび上がるキャンドル

作ることで私は生きている実感を得ていました。もっともっと透明になりたい、純度をあげたい。焦ってもしょうがない。もっと見るんだ。朝露や葉っぱの影や朝の空気を。自分の中のなにかいいものを形にしたい。そして誰かがそれに触れてなにかが変わる瞬間を見てみたい。蝋の可能性を心いっぱいに広げて、なにかいいものがこの世界に増えるといい。そう毎日思いながらキャンドルに向き合っていました。

いくつかの展示会をして、いくつもの納品をして、数をとにかくたくさん作って、無我夢中で作り続けた京都の生活。仲間との出会いもたくさんありました。後に私の人生を大きく変える出会いもありました。その出会いのお話はまた次回に。

nuri candle exhibition 月と一角獣

連載中キャンドルに彩を灯して

1

8月29日公開

福岡に帰ってきた

京都、そして地元の福岡へと活動の拠点を移しながら、自然をモチーフにしたキャンドルを作るnuri candle。どこか懐かしく、でも見たことがないような新しいスタイルのキャンドルはどのように生み出されているのでしょうか?注目を集めるキャンドル作家の魅力に迫ります。

2

9月26日公開

京都で過ごした時間

父親の転勤を機に引っ越した京都。四季折々の美しい自然や文化に触れながら、生きていることの実感と自己表現に対する葛藤のあいだでひたすらキャンドルを作り続けた日々は、充実した創作活動の時期となりました。

3

10月31日公開予定

4

11月28日公開予定