carbon

雑貨店、ピアノ教室

大阪の谷町六丁目にある雑貨店&ピアノ教室。フランス製の雑貨や、品質にこだわった国産のおもちゃや家具などが所狭しと並んでいます。コンセプトはOPEN当初からずっと変わらず「贈り物」。

carbon 旅に出る

Bordeaux, France

ぼるどー

フランスの南西部にあるボルドーは、人口、面積ともに鎌倉市と逗子市を合わせた程の規模の街で、ボルドーワインの産地として知られる。パリから約500kmほど離れており、大西洋にほど近く自然の豊かな郊外都市として、近年ではフランス国内でも「住みたい都市No.1」に挙げられることが多い。ボルドー出身者には哲学者のモンテスキューや映画監督のルネ・クレマン(『太陽がいっぱい』『禁じられた遊び 』)などがいる。

2carbon フランスの旅(ボルドー編)

En France - 4年ぶりのフランスへ

旅は、そのキッカケからすでに始まっている。
ここ数年の忌まわしいテロ事件の影響ですっかり足が遠のいていたフランス。以前は買い付けのために毎年のように訪れていて、フランスはcarbonとは切っても切り離せない特別な存在の国でしたが、気がつけば前回の渡仏からもう4年も経っていました。

2017年の夏にはcarbonの改装工事があって、暑い夏のあいだ無我夢中で突っ走ってきました。そのさなか、リニューアルオープンの目処も立ってようやくゴールが見えてきたころ、ふと舞い込んできたのがフランス行きの話。

「そうだ フランス、行こう。」(どこかで見たキャッチコピーのようですが…)

いつもならあれやこれと考えて二の足を踏んでいたはずですが、後先のことを考えずに「行く!」と決めた自分にかなりドキドキしました。まるで運動会のリレーで先頭でゴールしたままどこまでも走り続けられるような、そんな気分。仕事のコト、交友関係のコト、我が家の犬のコト…そんなすべてをそっちのけでフランス行きを決めたのは、出発のわずか10日前のことだったのです。

初めてのボルドー

ボルドー郊外にある世界遺産の町「サン=テミリオン」

4年ぶりのフランス、最初に向かったのは初めて訪れるボルドーでした。ボルドーはワインが有名なフランスの郊外都市ですが、その名前を聞いたことはあっても実際に行ったことがある人は少なくて、書店にガイドブックを探しに行ってもほとんど情報が見つかりません。インターネットにも日本語のページがあまりなくてちょっと不安になりますが、きっと外国の人が日本で東京や大阪以外の地方都市に行くときもこんな感じなのかもしれませんね。

ゴシック建築が美しいボルドーサンタンドレ教会のパイプオルガン

知らないことだらけのボルドーでしたが、いざ行ってみるとすごく素敵なところで、ヒトコトで言えば「食べモノがおいしくて長閑」。もちろんパリにもおいしいモノはたくさんありますが、やはりそこそこ財布に負担がかかります。その点、ボルドーはデリもカフェも町のオーガニックマーケットから仕入れているお店が多く、どこも安くてホントにおいしかった!


さすがフランス、何を食べてもおいしい!

今回、ボルドーの旅をアテンドしてくれたのは現地在住のエミリーとヴァンサン。エミリーは私が若い頃にアルバイトで働いていた大阪のフランス料理店の看板娘で、当時はまだ小さな子どもだったけど、今ではボルドーの大学の教育学部で先生を目指す立派なボルドジェンヌ(って言うのかな?)。ボルドーで毎日おいしいモノにありつけたのは、エミリーとヴァンサンが今ドキの情報ツウでグルメな若者だったことも功を奏したのかもしれません。

世界中どこでも一緒なんだーっと思ったのは、若い人がその町のインスタグラマーの投稿を見て流行りの店を探すこと。フォトジェニックな場所がトレンドになるのはどこも同じなんですね。


サン=テミリオンで楽しむ魔法的なワイナリーツアー

サン=テミリオンのぶどう畑

そして、ボルドーと言えばやっぱりワイン!
ボルドーカラーという色の名前になるほど「ボルドー=ワイン」として有名なこの町の観光に欠かせないのがワイナリーツアー。もちろん行ってきました。シャトーと呼ばれるワインの生産地はボルドーの中心地から車で1時間ほどの近郊に点在していて、私が訪れたのは「サン=テミリオン」という小さなカワイイ町でした。

ワイナリーで新鮮なワインを試飲中

サン=テミリオンは人口わずか2,000人ほどの小さな集落ですが、大小様々な規模のシャトーが80以上もある文字通りのワインの町。本場フランスのワイナリーともなると、さぞ気難しくてスノッブな雰囲気かと思いきや、ワイナリーのオーナーが手品付きで解説してくれたり、気軽に何種類ものワインを試飲できたり、ワインの知識がない方でも十分楽しめると思います。

この町は古くから聖地サンティアゴ・コンポステラへの巡礼の宿場町として栄えたこともあり、中世のヨーロッパを思わせる建物がたくさん残っています。ユネスコの世界遺産にも登録されたサン=テミリオンの町は、赤瓦の屋根とぶどう畑の緑色のコントラストがきれいで、まるで絵本に中に迷い込んでしまったかのような場所でした。

そんな魔法的な時間を過ごせるサン=テミリオンで、どこまでも広がる葡萄畑の上に雲の影だけが静かに流れていく様子を眺めながら、キモチいい8月の終わりを過ごしました。


モラで待ち合わせ

ボルドーで人気のパティスリー「tata yoyo
高く積まれたカップに入るのはもちろんアイスクリーム!

ボルドーの中心地にはトラムが走っていて、旅行者にもとてもわかりやすい交通手段です。でも町が小さいから散歩しながらぐるりと一周できてしまいそうな広さで、2日目からは私も歩いて町を散策しました。そこで問題になるのが、道端においしそうなアイスクリーム屋さんが多すぎること!ついつい立ち寄って食べてしまいます。フランスの街歩きは常においしいものとの戦いです。

青い壁が印象的な書店「モラ」 Photo by ActuaLitté

ボルドーの目抜き通りのひとつ「ポルト・ディジョー通り」沿いにある大型書店の「Librairie Mollat(モラ)」は、お土産探しには絶好の場所でした。120年以上の歴史を持つこの書店は、ボルドーで育った人なら必ず子どもの頃に絵本を買ってもらった経験があると言われるほど、ボルドーの人にとってシンボリックな場所だそうです。青い壁が印象的で、「スーパーで買い物してくるから、あとでモラで落ち合いましょう」なんて、待ち合わせの場所としても活用されているみたい。

モラで購入した『100 GHOSTS』(右)とマシーヌ・ア・リールで購入した『Birds』(左)

そう言えば、アメリカのポートランドに行ったときにも、町の人たちに愛されている「Powell’s City of Books(パウエルズ)」という老舗の書店があって、みんなの待ち合わせ場所になっていました。インターネットの普及で町から書店が消えてしまうと、そういう場所がなくなってしまうのが淋しいですね。

モラは個人経営の書店ながら、年に100万冊もの在庫を扱うそうで、日本の蔦屋書店のカジュアルなレイアウトに慣れてしまっている私には少しお堅い本棚でしたが、フランスでしか手に入らないような本が見つかる率はかなり高いかもしれません。

ボルドーにはモラの他にも小さな書店がたくさんあり、内装がカッコいいとススメられて行った「Librairie La Machine à Lire(マシーヌ・ア・リール)」は好きなラインナップがギュッと詰まっていて居心地もとてもよかったです。

旅を10倍楽しむための2つの必須アイテム

お手製のボルドーマップ

旅を10倍楽しむためにオススメなのが自作の地図。特にガイドブックがないようなローカルな町を訪れるときには、事前にインターネットで調べた店や観光スポットをGoogleマップに登録していくだけでも心強い旅のお供になります。もちろん実際に町を歩いてみると地図とは違うこともたくさんあるのですが、地図の上で想像していた店に実際に行ってみる楽しさや、道に迷ったときにふとマッピングされた場所に辿り着いたときの感動は格別です。

もうひとつ、旅を楽しむアイテムとして欠かせないのが、現地の音楽のプレイリスト。今回はKAMAKULANIの「暮らしと音楽」特集でもおなじみの編集部のアベさんにセルジュ・ゲンスブールの曲を中心にセレクトしてもらいました。

プレイリストの中にはエミリーのフランス料理店でよく流れていた曲もあって、部屋で音楽を聴きながら「お店思い出すねー」っと話したり、慌ただしかった今年の夏の喧騒から遠く離れて、始終まったりした時間の中に身をおくことができた旅になりました。

今、こうしてボルドーで過ごした日々を思い出すと、田舎のおばあちゃんの家に行ったときのような気分になります。「また行きたい」と思うのは、場所ではなく、そこで過ごした時間が恋しいのかもしれませんね。


フランスの旅のプレイリスト

セルジュ・ゲンスブール、その他のフランス音楽

#01

Je T’aime Moi Non Plus

Serge Gainsbourg

#02

Yesterday Yes A Day

Jane Birkin

#03

夢見るシャンソン人形

France Gall

#04

Mon Raymond

Carla Bruni

#05

Maudits Manèges

Gabriel Yared

#06

Comme à La Radio

Brigitte Fontaine

#07

Je Rêve De Toi

Arthur H

#08

La Valse D’Amèlie

Yann Tiersen

#09

La Chanson De Prevert

Serge Gainsbourg

#10

Quelqu’un M’a Dit

Carla Bruni

#11

Tout Le Monde

Carla Bruni

#12

La Poubelle Cuisine

Gabriel Yared

carbon 旅に出る

1

1月17日公開

carbon 台北の旅

台湾が今人気急上昇。カフェに雑貨に建築に、見どころ満載で何度でも行きたくなる街、台北。そんなアジアのお隣の街に、大阪の老舗雑貨店carbon店主が初めて訪れました。carbonがアジア?そんな先入観を捨てて台北の街に繰り出してみると、そこには思わず納得の魅力がありました。KAMAKULANI特別企画、海外旅行ビギナーのための台北ガイド!

2

11月14日公開

carbon フランスの旅(ボルドー編)

carbonの4年ぶりのフランス遠征はパリから500kmのワインの産地、ボルドー!「フランス人がいま一番住みたい街」とも言われる自然豊かな郊外都市のボルドーは、食べモノがおいしくてとっても長閑な町でした。パリとは一味違う魅力を楽しめるボルドー。この町には深いワインのような魔法的な時間が流れています。

3

12月5日公開

carbon フランスの旅(パリ編)

carbonフランスの旅、前回のボルドー編に続いて、今回はパリへ。26年前初めてパリの街に足を踏み入れたときから、きっと色んな運命に導かれて、carbonは谷町六丁目の小さなパリになったのです。今年のパリ遠征ではついにcarbonの生みの親とも言える憧れの雑貨店のオーナーとお話しすることができました!