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問屋

五八PRODUCTSは、五島史士さんと八木沼修の2人のデザイナーによる東京三鷹市の新しい形の問屋さん。日本に残る伝統的工芸品や各地で根ざす技術を、現代の日常に普通に溶け込む「さりげないモノ」として、産地の「コト」と一緒に、ユニークな商品をお届けします。

五八の日常に溶け込むモノづくり

三嶋さつき ピアノポスター by carbon 限定販売

66年目からの五八PRODUCTS

五島史士

大きな視野でモノづくり

「デザイン」だけでは分からなかったこと

デザイナー2人が右も左も分からない中、五八PRODUCTSという問屋さんを始めて5年が経ちましたが、「デザイン」だけをやっていては分からなかったことをたくさん気づくことができました。もともと良いものがあるのに、また良いものを作っても、出し口が無く終わってしまう事例も多く、それなら出し口を自分たちで作ってしまおうと始めたことでしたが、それによってモノづくりへのデザインの関わり方を違う角度で考えることができた5年間でした。

持続可能な産業にするために

今年から五八PRODUCTSで尾崎人形という佐賀県の郷土玩具を紹介させていただいていますが、その歴史は元寇のころまで遡り約700年の歴史があります。しかし、後継者不足で長い歴史も2009年に一度途絶えてしまいました。そして現在、この歴史のある伝統をこのまま無くしてしまってはいけないと尾崎人形保存会が立ち上がり復活したわけですが、それでも現在作り手は高齢の職人さん一人です。その職人さんが辞めてしまえばまた途絶えてしまう状況です。※ ページ上部の鳩の置き物:『テテップゥ』佐賀の尾崎人形を代表する鳩笛。呑みの席で下戸の人がお酒を飲む代わりにこの笛を吹いていたといわれています。

どうすればデザインで彼らの助けになれるのか。一時の話題性のためではなく「継続可能な産業にするため」にデザインを使うということが大切ですが何ができるでしょう。

若いユーザーに情報を届ける

伝統産業が衰退していく原因として、きちんとユーザー(特にこれからを担う若いユーザー)に情報が届いていない、見てもらえていない、存在さえ知られていない、ということがあります。基本的に作り手にはお年寄りが多くそんなに儲ける必要もないので、地方のお土産屋に置いて安い価格で販売してもやっていけている現状です。地方では持ち家で家賃を払う必要もなく安い物価の中なら何とかそれでやっていけますが、それでは後継者が育たないのも無理はありません。若い人に興味を持ってもらえる仕事にしなくては、伝統も終わってしまいます。そのためには評価されて最低限儲ける仕事にならなくてはいけません。

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五八PRODUCTSの出番

そこで私たち五八の出番です。
ただ無造作にお土産屋に置いてあると「お土産モノ」ですが、他の商品とコーディネートして提案するなど、そのものの良さを理解して見せ方をデザインすることでグッと洒落た見え方になります。これまで置かれることのなかったようなお店にも置いてもらうことで認知度も少しずつ上がっていきます。その際に、売れて喜ぶだけじゃなくきちんと利益の出る適正な価格設定をすることも大切なデザインのひとつだと思います。

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今の時代にフィットする「産地」とは?

ただ、5年間の活動の中で作り手さん個人とのやり取りだけでは解決できない問題も見えてきました。そのバックボーンである産地が旧態依然としていて今の時代にフィットしていないが故の問題があったり、原材料の生産や流通に問題があったり、地域と関わらないと解決できないことが沢山あります。作り手さんとのお付き合いの中で、そういった相談を受けることも増えてきました。

私たちは2人で運営している零細企業なので大きなことはできませんが、今後、もう少し大きな視野でモノづくりに関わっていけたらと思います。

五島史士

八木沼修

五八PRODUCTSのこれから

この5年に見えた事。気付いた事。

五八PRODUCTSとして活動をスタートして5年が経過しました。

正直言って、こうやって活動を継続できていること自体が、我々としては驚きと言えます。なぜなら、活動をスタートする時点では、将来的なビジョンを明確に持っている訳でもなく、継続するという断固とした意思も、正直強く持っていなかったと思います。

では、なぜ継続できたか?
いま、改めてぼんやり考えてみると、それは「ブレない気持ち」という事を、常に大切にしていたことが要因だったと思います。この「ブレない気持ち」ってなんだろう?というと、自分でもそんなに意識はしていなかったのですが、先日あるところで出会った方から言われた「八木沼さんからは『産地』という言葉がよく出ますね」という言葉でした。

「産地」ということは、五八PRODUCTSの活動の大前提ですので、それ程強く意識した事は今までありませんでした。しかし、確かに話しの端々に「産地」又は「産地性」という話しをする事は多くあり、改めて、スタート当初よりもここ数年の自分の中の意識の比重が、商品や作り手の事よりも「産地」又は「産地性」を意識しながら活動してきたのかも知れません。

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「産地」「産地性」の現状

日本津々浦々足を運んでいる訳ではありませんので、一部の接点しかありませんが、私共と付き合いのある作り手さんと打合せなどを進めますと、付き合いのある作り手の方々は、高齢の方が多いのが現状です。又は、後継者の継承がままならないという事が問題でした。

これらは、付き合いが長くなったいまでも、なかなか改善されたという話を聞くことは少ないですし脱却できてきたという話も、残念ながら耳にすることはできていません。しかし、いまそれ以上に問題となってきているのが、伝統工芸品等の商品を作る上での原料の問題や素材の調達という、ある意味“外的要因”が製造・生産の現場に急速に影響を及ぼしているということです。

一例として…

  • 丸亀うちわで使っていた高知にいる和紙を漉いていた方が、昨年亡くなられた。
  • 和紙の原料となる 楮(こうぞ)が、複数産地に於いて、生育状況に問題が出てきている。

などが、問題になってきています。

これは、五八PRODUCTSとしての活動をスタートした時点では「産地」または「産地性」というキーワードについて、作り手さんその人「個」の延長線上として見ていた記憶があります。しかし、活動を通してその後5年を経過した現時点では、「個」としての延長として見るだけでなく、もう少し広範囲な意識が形成されてきたように感じます。産地連携という大きな枠組みとしての話ではなく、知り合いや付き合いのある「人と人を、どうにかして繋いでいくか」という、もう少し身近なところでの「産地」「産地性」の意識です。この意識への変化として考えられるのは、上記にも書きましたが、現場で発生している問題という要因が1つのきっかけでもありますが、更に考えてみると、我々 五八PRODUCTSが、5年という時間を経過してきたという事も関係するかも知れません。

それは、本当にご縁とご縁の繋がりがあって、ここまで活動を継続してこられたということです。

スタート時は、目の前の問題や作り手の方とのお付き合いが最優先であり、そこに集中し、周りを見る余裕もないところから、1つ1つの「ご縁」が生まれ、それを大事に大切にしてきたことで、いまでは本当に多くの方々との繋がりを持つことができています。
その中で、最近思ってきていることがあるのは、ここKAMAKULANIでの第1話でも話しましたが、五八PRODUCTSは「企画やデザインのできる新しい形の問屋さん」という位置付けです。これ自体は、それこそ「ブレない気持ち」を意識しながら活動継続していますが、更にここに来て五八PRODUCTSは、ご縁とご縁を繋ぎ合わせる「仲人」という立ち位置も今後増えていくのではないかと思っています。

それぞれの産地や作り手相互では、全く知ることも繋がる事もない事であっても、そこに我々「五八PRODUCTS」が存在していることで、全く新しい繋がりを作り出すことも可能にでき、今回話している「産地」「産地性」の危機的な状況についての打開策・解決策も、ここから生み出すことができるのではないかと感じています。

八木沼修

五八PRODUCTSの「ブレない気持ち」

今回、6話にわたり我々五八PRODUCTSについて話してきましたが、皆様 いかがでしたでしょうか?
五島・八木沼は、相変わらずボンヤリと活動しておりますが、改めてこの様な機会を頂き、自分たちについて向き合う事で、ちょっとだけ自分たちの事を自分たちで知ることができました!(笑)

ここ数年は、五八PRODUCTSを知っている周りの方々が、活動の一端について好意的に思っていただいている方が増えてきていると実感しています。その方々の気持ちを裏切らないように、やはり今後も「ブレない気持ち」を意識しながら、マイペースで歩んでいきたいと思います。

最後まで、お付き合い頂きありがとうございました。

Comment from the Curator

五八さんのお話は、どの角度から見ても考えさせられることばかりでした。
売れるモノは作る、売れないから作らない、それだとモノが持つ力は衰退する方向にしか向かない様に思います。五八PRODUCTSが時間をかけて人と人との「縁」を大切にする中で、アイディアとデザインに手が加わり、世の中に出てくる商品を楽しみにせずにはいれません。

今回の最終回でお二人、それぞれの思いを書いて頂きました。届いた原稿を読んでちょっとゾワっと鳥肌になるくらいチームワークの良さを感じて、密かに憧れのキモチすら抱きました。お二人は別々に職人さんやメーカーさんに出向いて個別に担当されています。ですが、本質的なところがココまで同じ思いなら安心して自分のパートにエネルギーが注げるんじゃないかと、ホントに羨ましく思いました。

五八PRODUCTSさんのお話は最終回になりましたが、コレからもKAMAKULANIのFacebookでも新商品などはご紹介してまいります。これからも、マスマス目が離せません!!楽しみしています。

 

 

三嶋さつき ピアノポスター by carbon 限定販売

五八の日常に溶け込むモノづくり

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