coeur ya.

彫金作家

シンプルだけど存在感のあるデザインが人気の彫金アクセサリー作家。
1998年から始め、5年の活動休止を終え2012年から活動を再開しました。

連載中人は聞きたいと望んでいないかもしれない

1自分の言葉で何かを伝えるのはとても難しい

切ったり曲げたり叩いたりくっ付けたり

coeur ya.定番品のピアス

自分の言葉で何かを伝えるのはとても難しい。

これで伝わるのだろうか…これでは不親切じゃないか…もうちょっと付け加えた方が伝わるんじゃないか…いや、そもそもそんな詳しい話を人は聞きたいと望んでいないのかもしれない。そう思って、自分が彫金をしていることすら言わないことも多い。でも知って欲しくないわけじゃない。

そんなややこしい私に、とても良い機会を与えてもらったと思ってcoeur ya.の「人は聞きたいと望んでいないかもしれない」けど話したい話を書いてみようと思います。

普段、初対面の方には「彫金作家のcoeur ya.(クール ヤ.)と申します。」と名乗ります。
銀や真鍮の板や棒を、切ったり曲げたり叩いたりくっ付けたりして制作します。出来るだけ商品を直接手に取って指に着けたり鏡の前で合わせて選んで欲しいという気持ちがあり、販売は取扱店の店頭が中心です。あと、最初の「自分の言葉で何かを伝えるのは難しい」にもつながるのですが、自分で作ったものの説明をお客様にするのがとてもとてもとても苦手なので、私が下手な説明をするくらいならプロにお願いした方がいい!という気持ちもあり、やっぱり販売は取扱店へお願いしたいです。

coeur ya.の取扱店(2016年12月現在)

ダイヤメゾン(大阪南堀江)
http://daiya-maison.com
soraji(大阪豊中)
http://soraji2006.exblog.jp
oltwax&gram(岡山)
http://oltwaxgram.wixsite.com/oltwax
LA BLUE(岐阜)
http://www.lablue.jp

作ったものに名前をつける

雨の下ピアス

ある日の四角の着画

作ったものに名前を付けるのはこだわりのひとつです。「ある日の四角」「雨の下」「色の違い」などなど…。「親しみを持って貰えたら」と名前を付けたのが始まりですが、今では少し変わってきました。例えば「雨の下」というピアスは真鍮の粒を「雫(しずく)」に見立てたデザインなのですが「雫」という漢字の「雨」と「下」を分けて「雨の下」としました。もし「雫」という名前ならピアスの形状を見て納得して終わりかなと思うのですが、「雨の下」という名前を聞いてからピアスを見たとき「雨が軒や窓ガラスを伝って落ちていく雫」とか…人それぞれの想像でいいんですけど、見て聞いて何か情景を頭に浮かべて貰えるのも面白いかなと思うんです。基本的にシンプルなデザインが多いので、やっぱりどれだけ世の中に1つだけのデザインを目指したつもりでも似たような商品はどこにでもあるのです…残念なことに。そんなこともあり、商品の形だけじゃなく、名前やそこから浮かんだ情景も引っ括めて商品の個性として作っていくことで、沢山ある商品の中から心に引っかかる1つのきっかけとなればと名付けています。

人は聞きたいと望んでいないかもしれないけれど

古い建物の柵がモチーフの「その先に」ピアスとリング

デザインのネタはいろいろ。古い建物(とくに60年代前後建築!)の柵やドア、工務店の脇に積上ったパイプの断面、彫金作業中に家に打ち付ける雨音。そこからオブジェのような形を頭の中で組み立て、その形をさらに頭の中でくるくる回転させながら「どうやって人の身につけるものにしようか」「ここにピアスポストを付ければ耳に着けられるかな」「ここに指を通せば指輪になるかな」と考えていきます。

自分が作っているものが「アクセサリー」という意識は低いかもしれません。そして最初に「アクセサリー」として頭に浮んでいないこともあり「これは身につけにくいわ…」という理由で、実際に「人の身につける」商品として世に送り出せるのはごく一部。でもその理由で年々デザインが消極的になってきている事に焦りを感じていました。そこで「身につけにくいオブジェ」も何とか世に出したい!という欲求を解消したのが、「個展」という形で「商品」ではなく「作品」として世に出すという方法です。

その「個展」て?「作品」にしたら何なの?という事についてはまた違う回でたっぷり話したいと思います。「人は聞きたいと望んでいないかもしれない」けれど。

連載中人は聞きたいと望んでいないかもしれない

1

12月20日公開

自分の言葉で何かを伝えるのはと...

幾何学模様のシンプルな形状。銀や真鍮の素朴な風合い。coeur ya.(クール ヤ.)のアクセサリーが持つ素朴で詩的な魅力の裏側には、これまで語られることのなかったストーリーがありました。

2

1月31日公開

coeur ya.が生まれた日

なんとなく、なんとなく、でも導かれるようにして進んだ先には、子どもの頃に心惹かれた「彫金」の世界がありました。彫金を仕事にするにあたって、初めに決めたふたつのこととは…。

3

2月28日公開

個展をひらくということ

2016年に初めて開催したギャラリーでの個展『鉱物標本』。テーマは「鉱物の結晶の形をしたアクセサリー」。当初は個展には消極的だったものの、作品の見せ方を模索する中で、声を掛けてくれたギャラリーや多くの人の協力もあり、coeur ya.さんの意識は徐々に個展の開催に向いていきました。

4

3月28日公開

原動力としての建築

立体的なアクセサリーのアイデアが生まれる原動力は意外なところにありました。年に一度の東京旅行で見るのは「建築」。良書『いいビルの写真集』を片手に、歴史的建築物から通りすがりの名もないビルまで、街には「何か作らないと!」と思わせる刺激があふれています。

5

4月25日公開

coeur ya. 作品集

定番品から展示会ごとのコンセプトに沿って作られたものまで、最近の作品を写真で振り返ります。ひとつひとつは一見無機質な幾何学模様のアクセサリーが、いくつも並べてみると様々に形を変えながら有機的に変化しているように見えます。